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三多島

SAMDA-DO

古くから済州島は風と石と女が多いとして 「三多島」という愛称を持っている。まず四 面が皆茫々たる大海である。 済州島に風が多いのは当然のこと。家毎に 幾重にも積み上げた石垣は強い風にも垣 が倒れず、風が通り抜けるように 風の通り道の役目をする。また随所に見ら れる多くの石は全て漢拏山の火山噴火に よって生成されたもの。 女が多いと知られている理由は、魚を捕り に海に出ていった男たちが台風に遭って帰 って来られなかったためだと言う。 痩せて不毛な自然環境の中でも強靭に生 計を立てて来た済州島民。彼らがいたから こそ、これほど美しい島が存在するのでは ないだろうか。

  • Stone

    晴天の日にも、激しい雨風が吹きつける日 にも、いつも気丈な姿勢で済州島を見守っ てくれる守護神。心強い父親のようでもあ るが、詳しく見れば飛び出した目と膨らん だ腹が無性に可愛く思えたりする。その格 好は一種類ではなく、村によって少しずつ 形の異なる様々なトルハルバンがある。 死者の墓の横に立てておく童子石。墓の主 の使いになったり、一緒に遊ぶ友逹になって くれたりする。玄武岩を利用して作るので、 済州島だけの独特の雰囲気が感じられる。 防邪塔というのは、村の何処かに不吉な兆 しがあったりすると、そうした所を防いでこ そ村の平安が守られるという信仰で積み上 げてきた塔である。この塔を築く時は、そ の中にしゃもじや釜を埋める。しゃもじを 埋めるのは釜の飯を掬って盛るように財物 を盛り入れよという意味であり、釜を埋め るのは恐ろしい火にもビクともせずに耐え 抜く釜のように村の災難を防いでくれとい う意味だと言われる。